推しができた

昨今の「推し」ブームにはいろいろと思うことがあるが、突然推しができてしまった。テレビを見ていてストンと落ちた。推される側としてのベテラン事務所に所属しているので、とても推しやすい。これまで友人たちから散々聞いてきた「むやみな搾取」はないし、もともと人気があるので供給過多で受け取りやすい。正直「顔がいい」と言いたいが、今を生きる者として、そんな言い方していいのかと足が止まる。でも美容をがんばったり身体を鍛えたりしていることを自ら発信しているので、外見を褒めてもいいのだろうなとも思っている。なにをどう褒めたらいいのだ。きもくならない褒め方が見つからない。慣れない。推しのことを表現することに慣れない!日常に侵食しないようにしたいが、絶賛、暇さえあればYouTubeを観ているので完全に浸食されている。

叶わなかったこと

割と能動的に生きているので、やると決めたことはやってきたほうだと思うけど、それでも「叶わなかったこと」がある。それをどう捉えるかは人によるが、私はまあまあ自然なことであると思っている。そしてそういうものは星になると思うようになった。ここまで生きてくると、「なにか叶えたいことがあること」自体がエネルギーに満ち溢れていて、今からその状態になることはできないと感じる。そういうものがあって、その想いの先にいくことなく途切れたものは、想いの真空パックのようで、とても美しいように感じる。時々見上げる星のようだと思う。

陰謀論信者について思うこと

陰謀論信者が問題になっていることはなんとなく知っていたが、先日の地震について、仕事でお世話になっている人が「人工地震の可能性がある」と言いだして絶句した。

その人は普段から、新聞はもちろんニュースも見ておらず、しかし「知らない」と言うこともできない。なので例えば政治の話や選挙の話、ハラスメントの話など、ある程度知識が必要な話題になると、黙ってしまい機嫌を悪くしたりする。

人工地震だって得意げな顔をして言っていた。陰謀論ってベースにコンプレックスがあって広がってたりするのかな。

諂上欺下

ホリプロの演劇のプロデューサーがXで「初日の1か月前に通し稽古ができるなんて、日本で一からオリジナルで作っていたら到底できないこと。稽古を重ねて、ここからさらに完成度を高めていくわけだから、どこまでいけるのか楽しみ。ブロードウェイで観た時に素晴らしさに興奮して寝られなかった作品だが、日本版はそれを越えてくるだろう」とポストして、演劇関係者に「到底できないとは思えない」と引用RPされたらその人をブロックする、という出来事があって(そのあとPが直接連絡したらしく、お互い該当ポストを削除した)、あまりにもあまりにもで笑ってしまった。プチ炎上したが、ポストを削除したことで素早く鎮火に向かった。

個人的には、ホリプロのミュージカルはとっつきやすいものが多いと思うのだが、ホリプロという会社の、「成果」をどう作りあげるかに夢中で、観客、延いては人間を大切にしない思考、不遜な態度が受け付けず、自ずと作品のとっつきやすさにも冷えた視線を向けてしまうことがよくある。もちろん演劇は全員ホリプロの人間でつくるわけじゃないし、海外クリエイターともよく仕事している会社なので、なにかひとつの空気に飲まれることはない仕組みがあるように思えるのだが、なぜだろう、社風がすみずみに滲み出る。

だからホリプロの人がこんなふうに炎上すると「お!」となるのだが、それによって彼らがなにかを変えるような真摯さはないと思っているので、だったらじゃんじゃん燃えてこの不遜さが知れ渡ればいいのにと、こっそり願う。しかし逃げ足が速いので、じゃんじゃん燃えないのだった。『スリルミー』とかほっといても売れる作品多いし。やり手だね。憧れないけど。

向き合わない態度

小学館、ここにきて悪名を轟かせている。日テレはもはや最初から期待されてない感。世の中はどうしてこうなったんだろうか。どうしてこういう対応がアリだと思える人が決定権を持っているんだろうか。いろいろ見ていると元からそういう体質だったようだけど。あれこれ考えてしまう。今回の件では「声をあげることの重要性」を語られる場面も見るが、どちらかというとクレームを避けるという行動がこういう対応を招いたのではないかとも想像したり。でもなくしちゃいけないもの、ありますよね、あまりにも不誠実ではないですか、あなたはそう感じませんでしたか?みたいなことを延々考えている。レベルは低いほうに合っていく。例えば「クレームを出さない」ための手段には「大しておもしろくないものをつくる」「話題にならないものをつくる」もあるだろう。それで「クレームがない」と楽しく仕事をしている人たちを横目に、クレームと表現の狭間で闘い続け、疲れきった人たちは、魔が差して、そういう選択を取ることもあるのではないか。それでスムーズにいったことですっかり心が折れたようになって、もとの情熱を取り戻すのに何年もかかってしまったりするのではないか。一人でやっていたらそうなんじゃないか。味方がいれば、折れた心が戻るスピードやそもそも折れずに踏ん張れるような気持ちが得られて、違うんじゃないかと私は思っている。

 

追記(2023.2.09)

惣領冬実のコメントが印象的

fuyumis.com

東宝のジョジョ開幕延期

帝国劇場2月公演ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』が「間に合わない」という理由で開幕を延期した。現時点で詳細な理由は説明されていない。それに対して、これまでの貯金であらゆる不満をやりすごしてきたミュージカルファンの不満が噴出していること、演劇界にもっと深刻に受け止めてほしい。この延期だけでここまでになっているわけじゃないことと真摯に向き合ってほしい。東宝がどういう算段があってこれ発表したのか気になる。「今回もわかってくれるっしょ」と思っただろうか。チケット代高騰や席種問題、もちろん事情は理解できるが、正直、「高くしたって、多少雑に扱かったって、来る人は来るっしょ」という態度でいるのが透けて見えていた。それをみんなで見てみぬふりして、不信を期待で振り切って、ごまかしごまかし愛し続けていたのに。どの層がこの商売の仕方をよしとしているのか。政治家の裏金世代か。あの世代であればもう、聞く耳は持っていないので、退陣するのを待つしかない。それまでに演劇が死んでいなければ。

 

▶2月6日追記

改めて詳細なお知らせが出た。手数料も含めた返金や、遠征のためのお金も保証してくれるそう。これ反響見て決めた感じか。声をあげることって大事なんだな(政治ではそう感じられないが)。

▶2月8日追記

こうなってくると、なにか別のことが起きてるんじゃないかと心配になるのがファン心理。

好きな演出家が「徐々に中止の公演」とつぶやいていて、東宝にはごめんけど笑ってしまった。

『オデッサ』

おもしろかった。カッキーも宮澤エマも迫田さんも大変素敵に見えた。ほんとに素敵。それ以上の言葉がないです。汗をかいて笑わせてくれる人たち。

いつも思う。三谷さんの舞台、なんでこんなにおもしろいんだろう。とんでもないことをしてるけど抑制がきいていて、派手なわけじゃないけど爽快感があって、どういうバランスになっているんだろう。絶対にこの人じゃないと生み出せないものがあって、それを観ることができることに自然と感謝してしまう。人の才能の貴重さを、嫌味なく理解させてくれる。